小児アレルギー科

アレルギーとは

アレルギーのイメージ画像

牛乳も小麦も花粉も人間にとってはすべてが「異物」です。
からだから異物を排除する力が働くことを「免疫」、受け入れることを「寛容」と呼びます。
通常は「免疫と寛容」がバランス良く働くことにより、なにかを食べたとき、触れたときにくしゃみや鼻水、湿疹がでたりすることはありません。
しかし、体に入ってきた「異物」を排除する「免疫」の力が強すぎると多様な症状を認めることがあります。「過剰に働く免疫反応」これがアレルギーの正体です。
アレルギー疾患は以下の様に分類されており、小児科外来で最も多く遭遇するのはⅠ型アレルギーです。

Ⅰ型 Ⅱ型 Ⅲ型 Ⅳ型
名称 即時型アナフィラキシー型 組織障害型 免疫複合型アルサス型 遅延型ツベルクリン型
作用因子 IgE IgG、IgM IgG、IgM T細胞
反応時間 15~20分 数分~数時間 3~8時間 24~72時間
疾患例
  • 気管支喘息
  • 蕁麻疹
  • 食物アレルギー
  • 薬物アレルギー
  • アナフィラキシー
  • 自己免疫性溶血性貧血
  • 突発性血小板減少性紫斑病
  • 薬剤性溶結性貧血
  • 顆粒球減少症
  • グッドパスチャー症候群
  • 糸球体腎炎
  • 血清病
  • 過敏性肺臓炎
  • 全身性エリテマトーデス
  • 薬物アレルギー
  • アレルギー性接触性皮膚炎
  • 移植片対宿主病
  • ツベルクリン反応
  • 薬物アレルギー

当院で診察しているアレルギー疾患

  • 気管支喘息
  • アトピー性皮膚炎
  • 食物アレルギー
  • アレルギー性鼻炎(ダニ、スギ花粉症)
  • アレルギー性結膜炎 など

食物アレルギー負荷試験

「離乳食の開始が心配」、「食べ物で症状がでたことがある」、「どれくらい食べられるか知りたい」など、医師と看護師がいる環境で持参していただいた食事を食べていただき、症状が出ないことを確認してもらうことができる外来です。食べる量については病歴をもとに保護者と相談しながら決めていきます。
負荷試験後はしばらくの間、クリアした量を継続し相談しながら増量していきます。

舌下免疫療法(スギ花粉・ダニ)

アレルギーとなる原因物質を含んだ内服薬を毎日1回舌下に投与することで少しずつ体を慣らしていく治療法です。スギ花粉症、ダニのアレルギー性鼻炎でお悩みの小児(5歳以上)と保護者の方を対象に、症状の軽減または根治が期待できるアレルギー免疫療法の一つです。従来、注射で行っていた治療に比べて侵襲がなく、こどもでも長く続けられる治療法です。

舌下免疫療法の開始時期

スギ花粉症は、花粉の飛散情報を元に5月中旬から12月にかけて開始できます。
ダニによるアレルギー性鼻炎は通年性アレルギーの原因となることが多く、こちらは年間を通していつでも始めることが可能です。

舌下免疫療法の対象者と年齢

当院では5歳以上の小児とその保護者の方を対象に治療を行っております。
お子様と保護者が毎日一緒に投与することで、長期にわたって継続することが可能です。

舌下免疫療法の継続期間

3~5年の継続が必要です。思春期以降にスギ花粉症やダニアレルギーで困らないよう、治療開始の年齢になったら是非試してみて下さい。その年の早い時期にスギ花粉の舌下免疫を始めると翌年の花粉飛散期には効果を実感できることもあります。

舌下免疫治療を行えない方

  • コントロール不良の気管支喘息
  • 妊娠中の方
  • 自己免疫疾患や免疫不全症などの方
  • 免疫抑制剤やステロイドを使用している方 など

主なアレルギー疾患

気管支喘息

喘息は、呼吸をするときの空気の通り道(気道)が狭くなり、呼吸が苦しくなる状態(喘息発作)を繰り返す病気です。
喘息の人は、気道に慢性的な炎症があるため刺激(かぜ、たばこ、ダニ、気圧の変化など)にたいして過敏な状態になっています。そのためちょっとした刺激にも敏感に反応して、喘息発作を繰り返してしまいます。

喘息発作を繰り返すと図のような変化をたどり、炎症を放っておくと元にはもどりません。

喘息の治療は、
①喘息を悪くする要因を減らす
②発作を繰り返さないように正しく薬を使う
③規則正しい生活(バランスの良い食事、良好な睡眠、運動など)
の3本柱です。

喘息の治療は長期(6ヶ月~1年)にわたることがしばしばあります。当院ではしっかりと説明を行い、発作治療から長期のコントロールまで対応いたします。
小児の喘息治療の主役は患児と保護者です。医療者と相談しながら主体的に治療を続けましょう。良い疾患管理は必ず良い結果となって現れます。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎はかゆみを伴う湿疹が良くなったり、悪くなったりを慢性的に繰り返す病気です。「赤くなる」、「カサカサする」「小さなぶつぶつができる」などが主な症状です。

通常、皮膚の角質層にはフィラグリンと呼ばれる蛋白質があり、それがバリア機能を果たしています。しかし、このフィラグリンに何らかの変化があると皮膚からの水分蒸発が増え、乾燥しやすい体質になります。皮膚のバリア機能が破壊されることでアレルゲン(ダニ、カビ、汗、細菌など)に弱くなり、アトピー性皮膚炎を発症します。

アトピー性皮膚炎はただかゆいだけではありません。
顔の周囲にある場合は白内障や網膜剥離を合併したり、かゆみによる睡眠障害で成長ホルモンの分泌低下が生じたり、眠気による学習障害を認めることもあります。
また、皮膚のバリア機能低下は食物アレルギーの発症にも関連しているため、毎日きれいな皮膚を保つことは日常生活に良い影響ばかりなのです。

アトピー性皮膚炎の治療は皮膚の炎症を鎮め、皮膚のバリア機能を改善することから始まります。
①薬物療法(ステロイド軟膏など)
②スキンケア(保湿)
③増悪因子の対策
以上の3つがアトピー性皮膚炎の治療の基本となります。短期間では治りませんが、正しい治療を行うことで、症状をコントロールして症状が出ない状態にしていきましょう。

写真のような症状を見つけたら、当院へご相談ください。

食物アレルギー

食物アレルギーとは、食べたり、触ったり、吸い込んだ食物に対して免疫寛容が働かず、過剰に反応することでじんま疹や咳、呼吸困難などの不利益な症状が起こる現象です。

食物アレルギーの分類

食物アレルギーの診療の手引き2020 引用改変
臨床型 発症年齢 頻度の高い食物 耐性獲得 アナフィラキシー
ショックの
可能性
食物
アレルギーの
機序
食物アレルギーの
関与する
乳児アトピー性皮膚炎
乳児期 鶏卵、牛乳、小麦 多くは寛解 (+) 主にIgE依存性
即時型 乳児期~成人期

乳児~幼児
鶏卵、牛乳、小麦、ピーナッツ、魚卵、木の実など

学童~成人
甲殻類、魚類、小麦、果物類、木の実など

鶏卵、牛乳、小麦は寛解しやすい (++) IgE依存性
食物依存性
運動誘発
アナフィラキシー
学童期~成人期 小麦、エビ、果物 寛解しにくい (+++) IgE依存性
口腔アレルギー
症候群
幼児期~成人期 果物、野菜、大豆 寛解しにくい (±) IgE依存性

外来で最も多いのが即時型です。 食物アレルギーの原因として頻度が高いのは鶏卵、牛乳、小麦です。特に乳児期はこの3つで食物アレルギーの9割を占めています。

食物アレルギーの治療は「必要最小限の原因食物の除去」です。「念のため」、「心配だから」で必要以上に除去をする食物を増やさないこと、「食べられる範囲で少しずつ食べていく」ことが大切です。 当院ではさまざまな食物アレルギーの相談を受け付けております。必要に応じて、検査や食物経口負荷試験も行うことが出来ますので、ご相談ください。

アレルギー性鼻炎(スギ花粉症、ダニ、ハウスダストなど)

くしゃみ、鼻水、鼻づまりの3症状を主とするアレルギー疾患です。吸い込んだ原因物質(花粉、ダニ、ハウスダストなどのアレルゲン)が体内に入ることで発症します。
アレルギー性鼻炎には、通年性のものと季節性のものがあります。通年性のものはダニが原因となることが多く、季節性のものは春~秋の花粉の飛散シーズンになると認められます。

近年、我が国ではアレルギー性鼻炎の低年齢化と有病率の上昇を認めています。
特にスギ花粉の低年齢化は明らかで、1998年に5-9歳の有病率は7.5%だったのが、現在では30.1%まで上昇しています。0-4歳でも3.8%と報告されています。

アレルギー性鼻炎の治療の基本は、アレルゲンの回避です。居住環境の清掃や花粉症用のメガネやマスクの装着は症状の軽減が期待できます。食塩水による鼻うがいも有効です。
それでも症状が強く出る場合は抗ヒスタミン薬や点鼻薬、点眼薬を処方いたします。
抗ヒスタミン薬やステロイドの点鼻薬は種類が多く年齢によって使い分ける必要があるため、当院では副作用である眠気やパフォーマンスの低下を意識しながら処方を調整していきます。

アレルギー性鼻炎の初期療法

花粉症における初期療法とは「強い症状が出る前から治療を始める」ことです。例年スギ花粉のピークは2月中旬から3月中旬ですが、1月でも飛散しています。花粉症の症状が出始めたなと感じたときにすぐに抗ヒスタミンや点鼻薬を開始することでピーク時の症状を抑えることができると報告されています。

舌下免疫療法(スギ花粉・ダニ)

アレルギーとなる原因物質を含んだ内服薬を毎日1回舌下に投与することで少しずつ体を慣らしていく治療法です。スギ花粉症、ダニのアレルギー性鼻炎でお悩みの小児(5歳以上)と保護者の方を対象に、症状の軽減または根治が期待できるアレルギー免疫療法の一つです。従来、注射で行っていた治療に比べて侵襲がなく、こどもでも長く続けられる治療法です。

舌下免疫療法の開始時期

スギ花粉症は、花粉の飛散情報を元に5月中旬から12月にかけて開始できます。
ダニによるアレルギー性鼻炎は通年性アレルギーの原因となることが多く、こちらは年間を通していつでも始めることが可能です。

舌下免疫療法の対象者と年齢

当院では5歳以上の小児とその保護者の方を対象に治療を行っております。
お子様と保護者が毎日一緒に投与することで、長期にわたって継続することが可能です。

舌下免疫療法の継続期間

3~5年の継続が必要です。思春期以降にスギ花粉症やダニアレルギーで困らないよう、治療開始の年齢になったら是非試してみて下さい。その年の早い時期にスギ花粉の舌下免疫を始めると翌年の花粉飛散期には効果を実感できることもあります。

舌下免疫治療を行えない方
  • コントロール不良の気管支喘息
  • 妊娠中の方
  • 自己免疫疾患や免疫不全症などの方
  • 免疫抑制剤やステロイドを使用している方 など
クリニック名
みらいこどもクリニック港北綱島
院長
中山 詩礼
診療内容
小児科 アレルギー科
所在地
〒223-0052
神奈川県横浜市港北区綱島東2丁目2-14 クリエイトS・D綱島東店 2階
(無料駐車場・駐輪場あり)
電話
045-718-5510
最寄駅
東急東横線「綱島駅」・東急新横浜線「新綱島駅」から徒歩3分
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